買い物同行を通じて「コミュニケーションの楽しさ」を伝えたい

生い立ち

1979年に生まれて、普通に地元の小学校に進みました。

父親は商社勤めのサラリーマン。若い頃から英検一級とか持ってて、新卒で入社した会社を勤め上げた、典型的な戦後のサラリーマンですね。中肉中背で、年相応の格好をしている印象ですね。特に見た目に気をつかうというよりは、「男は中身で勝負」というタイプの人です。

森井家三代

中学高校は私立の男子校に行きました。思春期の6年間、男ばっかりの世界です。

その頃、他の高校の女子と合コンとかしてる友達がいたんです。合コン、憧れましたね(笑) 僕も参加したことがあるんですけど、初回は緊張して一切しゃべれませんでした・・・。

その頃からですね。服装のことが本格的に気になりだしたのは。ファッションがイケてれば、女のコの方から自分を話題にしてくれるんじゃないかと思ったわけです。女のコってファッションの話題好きだし。

とはいえ、服装のことが知りたい、と思っても、当時はそんなにネットに情報があったわけでもないですし、服のことを学ぶには、専門学校とか行かないといけないと思ってたんです。

 

はじめての渋谷

当時、津田沼のジーンズメイトに一人で買い物に行ってました。でも、イケてる服を買うにはやっぱり渋谷でしょ!と思ってて(笑)、高校3年の時に、初めて渋谷に行ったんです。クラスによく渋谷で服を買ってるやつがいて、そいつと一緒に、5人くらいで行ったかな。

憶えている人もいると思いますけど、当時渋谷ってチーマー全盛の時代で、怖かったですよ(笑)

でも、5人のグループで行動してるとなんとなく安心だし、お店の人も、そんなに声かけてこないんですね。だから、無理に売り込まれることもなく、次々にお店を回れたので、すごく快適だった。

この感覚って、いまのエレカジの買い物同行にも通じてると思います。変に店員さんを意識することなく、試着に集中できるっていうのはいろんなお客さんに言われます。

で、渋谷にはやっぱりジーンズメイトじゃ見かけないような服がいっぱいあるんですね。値段も高いけど。その中で、9,000円もするTシャツを、友人の一人が「着てみろ」って言うんです。

自分では選ばないようなデザインだったし、値段もなかなか手が出ないレベルですけど、試着してみたら、意外とイケてる感じがしたんです。正確に言うと「イケてる人ってたしかにこういうの着てるよな」って、思った。

勇気を出してそのTシャツを買って、後日例の合コンに行ったんですよ。そしたら、いままで服に関して何か言われたことなんてなかったのに、女のコから「オシャレだね」って言われたんですよ。

服ってすごいな、って思いましたね(笑)

 

大学〜就職を経て独立

大学に入ってからも、服好きの友人と2人でよく買い物に行ってましたね。渋谷、新宿、池袋あたりを回ったりして。

大学2年の森井。GLAYに影響されてます(^_^;

大学後半くらいから、服を単品ではなくコーディネートで捉える意識が強くなって、あるとき、自分で本当に納得のいくコーディネートができた瞬間があったんです。組み合わせることで服が生きる、みたいな感覚なんですが、あそこで一気に自分のスタイリング力が上がったと思いますね。

英語の塾講師をしていた母親からはよく「不良みたいな格好して・・・」って言われてました。両親ともにカタい家なんですよね。いまでは自分の仕事を理解してくれてますが。

英語に縁の深い家庭環境だったり、自分自身、語学留学とかしながら、異文化コミュニケーションにおける共通言語の大切さみたいなことを考えるようになって、英会話スクールに就職しました。

社会人3年目くらいから、副業でパーソナルスタイリストを始めました。だんだんとお客さんを紹介していただけるようになって、いろいろ考えた結果、会社を辞めてパーソナルスタイリストとして独立しました。

ありがたいことに、アパレル出身でも、専門学校出身でもない僕に、何度もスタイリングを依頼していただける方が大勢いらして、数年で経済的にも安定してきました。

 

祖父と「森井洋服店」

昨年(2015年)祖父の墓参りに行ったとき、父が突然、そういえば祖父が仕立て屋をしてた、って言い出したんです。そう言われると、確かに中学くらいの時、父方の祖父の家に大掃除の手伝いに行くと、やたらと古い服が出てきたんですよね。

その足で祖父の住んでいた家に行き、見つけたのがこんな写真です。

森井洋服店

左側の扉に「森井洋服店」って書いてあります。写っているのはたぶんお客さんですね。

森井洋服店

この後頭部はたぶん祖父です。

祖父は明治の末に生まれて、10代の頃から洋服屋さんで奉公していたらしいです。そこから独立して、昭和初期、文京区千石に「森井洋服店」を出しました。一時期は、時の文部大臣とか、作家の丹羽文雄氏のスーツも仕立てていたみたいですね。

僕が高校1年くらいのときに亡くなってしまったので、あまりファッションの話とかをした記憶は無いんですが、こういう写真を見ると、隔世遺伝じゃないけど、そういう素養はあったのかもしれません。

 

新しいエレカジ

2016年の春から、森井個人のサービスメニューをちょっと変えています。価格は上がってしまうんですが、すこし時間に余裕を持たせて、今までよりさらに一人ひとりのお客さまを理解して、アドバイスさせていただけるようにしました。

「モテ専門スタイリスト」みたいな紹介をされることが今でもあって、実際、婚活目的でエレカジを利用される方は多いです。けど、「モテるファッションの人」と思われることには違和感もあるんです。自分としては、共通言語として英語を使うみたいに、見た目で表現することで、性別や立場を越えたコミュニケーションができると思ってて、その文法とか単語をお伝えしてるイメージなんですね。結果としてコミュニケーションが改善するから、恋愛もうまくいくんですけど。

一般的に、ファッションはとかく感性のものだと思われてるし、「今年はこの服!」というルールや流行の押しつけが強いと思うんです。

芸能人のスタイリストしてるとか、アパレル大好きな人ってとかく流行の先を行きたがりますし、買う服の相場観がちょっと狂っちゃうんですね。「まだ誰も着ていない服を着させる」みたいなことが目的になりがちで。

「10年着られる服を買いましょう」みたいな考え方も、いまだに百貨店の方とかに多いですが、ファストファッション以降は成立しないと思ってます。意地悪な言い方をすると、どうにか高いものを買わせようとしてる感じがするんですよね。いま量販店の服って相当レベル高いですから、手の届く範囲で買って、古くなってきたら無理せず買い換える、でいいと思います。

読売新聞に掲載

もちろん価値観は人それぞれなので、とんがって最先端を行くのもいいですし、高級品を買うのも否定しません。実際、高級ブランド品が欲しいと言われればちゃんとご案内します。

でも、僕が買い物同行に行きたいのは、服が目的なんじゃなくて、あくまで「いい恋愛がしたい」「いい仕事(取引)がしたい」みたいな、コミュニケーションを改善したい人なんです。

似合う服はその人ごとに違うし、それを組み立てるための理論もちゃんとあるんです。たぶんそのロジックを説明できるところ、リサーチをちゃんとしてるところ、普通の男性の金銭価格を忘れていないところが、いまのお客様が僕を支持していただける理由なのかなと思ってます。

アパレル業界出身ではない、普通の人出身のパーソナルスタイリストという、自分の原点にもどって、そこでのサービスレベルを上げていくための、今回のサービス変更だと思っていただければうれしいです。

さらに言えば、買い物同行自体がエンターテインメントとして楽しいと思っていただければ最高です。僕が高校の頃、友達と一緒に買い物をしたときの楽しさと同じで、買い物をする中で、自分でもわからなかった自分自身の魅力に気づいたり、新しいことに挑戦する決断の後押しをしてもらったり、そんな経験として捉えてもらいたいな、と最近は思ってます。